オーナー会員の声
小林 亮 さん
(平成18年より棚田オーナー)
石部棚田との出会いは今から11年前の初夏、たまたま西伊豆をドライブ中に発見した棚田の風景にまさに「一目惚れ」し、翌年には棚田オーナーになっていました。初めて田植えをした時の水の冷たさと吹く風の心地よさ、景色の爽快さは今でも鮮明に覚えています。
駿河湾を見下ろし、富士山と南アルプスを俯瞰する日本で唯一の棚田である石部棚田の魅力は、その風景の素晴らしさがまず第一に挙げられますが、四季を通じて作業に参加したり地元の方々と触れ合うと、本当の魅力は「人」にあるのだなということに気付きます。
そびえるように堅牢な石垣を苦労して築き上げた先人たち、「例え米粒が一つになろうとも棚田を守る」気概で復田し先人たちの思いをつないできた守り人の皆さん、棚田オーナーをいつもあたたかい肉飯おにぎりと笑顔で迎えてくれるおかみさんたち、道で会え
ば旅人ともいつしか井戸端会議になるやさしい地元の皆さんたち。そんな皆さんからどれだけの人が笑顔と元気を頂いたことでしょう。
石部棚田は人と人とをつなぐ不思議な力に満ち溢れています。石部棚田で出会い、石部棚田を愛する仲間たちと共に、これからも棚田を守る活動を広げ、魅力を伝えていきたいです。
戸代澤 幸雄 さん
(平成23年より棚田オーナー)
石部棚田との出会いは、先にオーナーになっていた友人に紹介されてぶらっと見に行ったのが始まりです。この時はコメ作りの何たるかは全く知らず只、棚田の景観に魅せられた、と言った所でしょうか。
初めの年は、田植えと稲刈り作業だけの最小限の関わりでした。この六年間を振り返り、先ず棚田復田の経緯を知れば知る程、推進し実現された保存会の皆さんの不断の努力に畏敬の念を強く抱いています。
更に近年は、保存会の高齢化、人員の減少、伝統の手作業にこだわるが故の作業の厳しさを実感し、今後いかにこのかけがえの無い棚田を守って行けるのか答が見つからぬまま、強い危機感を禁じ得ません。
一方、田越し、畦切り、代掻き、畦付け、草取り、草刈り、脱穀の各作業に参加することで、棚田への愛着が一層深まり、そこで逞しく育つ稲たちをとても愛おしく感じています。
加えて棚田行きにはもう一つの楽しみがあります。そこに住む人々が自然と共生し、結の精神を実行し、逞しく生きる姿から、都市に住む私たちは多くの事を学ぶことが出来るのです。今願うことは、この想いを共有し棚田で一緒に汗をかく仲間を一人でも多く作ることです。